D_MIX(@D_MIXing)です!
皆さんは、複数人で歌う「コラボ歌ってみた」を投稿したことや、投稿してみたい!と思ったことはありますでしょうか?
普段個人で活動されている方でも、記念日やイベントの際は複数人で歌ってみた動画を作成することはとても多いかと思います。
私自身、コラボ作品のMIXご依頼をお受けすることが多く、1人曲も複数人で歌うとまた違った雰囲気が出て面白いなと感じております。
そんな一度で数倍楽しく聴ける「コラボ歌ってみた」なのですが、一人で録音する時より注意しなければならないポイントも増えてしまうということも事実です…。
ただ裏を返せば、そのポイントを押さえておくだけで、完成作品のクオリティをグーンと上げることができます!
今回はそんな「コラボ歌ってみたを作る際のおすすめ手順」について解説いたします。
是非今回の内容をご覧いただいて、よりクオリティの高いコラボ作品を作る手助けができれば幸いです!
コラボ歌ってみたを作るおすすめ手順
早速ですが、コラボ歌ってみたを作る際のおすすめ手順について解説してまいります。
今回は”2人コラボ”で歌う曲は既に決まっている段階からを例に解説していきますが、基本的に人数や曲に関わらず、大事なポイントは同じです。
良い作品を作るためには、省いていい工程は1つも無いので、クオリティを上げたい方は是非ご参考ください!
大まかな流れは下記の通りになります。
- 歌う楽曲のキーを決める
- 担当する歌詞分けを行う
- どちらか一方が先に録音を行う
- 先に録音した人の音源に合わせて2人目が録音を行う
- 2人を合わせて聴いてみて、歌詞間違いや大きなズレが無いかチェック
- MIXへ
それでは、それぞれについて具体的に解説していきます!
1.歌う楽曲のキーを決める
まずは、歌う楽曲のキー決めです。
1つ目の手順ではありますが、これはものすごく大事な工程になります。
キー決めの基本的な方針は、「2人とも無理のない音域で歌えるキーを選ぶ」ということです。
ものすごく当たり前なことと思われるかもしれませんが、意外とこれがおろそかにされていることが多いです。
人間には、その人の声が一番輝く適正キーというものが存在します。
少し頑張れば出る程度のキーであればまだ大丈夫ですが、無理やり声を出さないといけないくらいだと、自分は良くても第三者にとってはとても聴きづらい歌になってしまいます。
そして、この時発生する”聴きづらい歌”はピッチ補正等で改善できるものではありません。
”苦しそうな声”や”辛そうな声”といった声の雰囲気のことは「歌のニュアンス」と呼ばれる要素なのですが、補正やMIXでは「ニュアンス」を調整することは不可能だからです。
ニュアンスに当てはまるのは下記のような要素になります。
- 「明るい声」や「辛い声」等の声の雰囲気
- 「囁き」や「がなり」等の声の勢い
- 「より可愛く出した声」や「かっこよく出した声」等の声のキャラクター
このニュアンスは、適正キーの範囲内でないとコントロールすることは困難なので、そういった意味でもキー選びはとても大切になります。
せっかくコラボ作品を作るのであれば、「バチっとキメてより多くの方に聴いてほしい!」という方が多いと思います。
作品のクオリティを高めるためにもしっかり参加者に合ったキーを選択しましょう!
声が低い人が高い人に頑張って合わせる方向
で進める方がまだ良いかなと個人的には思います。
理由としては、人間の構造上、高い音に関しては訓練すれば誰でも出るようになるのですが、低い音は生まれ持った声帯の特徴で決まっていて、後から訓練で広げることはほぼ不可能だからです。
また録音する場合は、部分部分で切って録音することが可能なため、1曲通しで歌うと高い場所が出なくても、部分的に歌えば出ることも多くなるためです。
頑張る方からしてみると泣きの手段という形にはなりますが、頭の片隅に置いておくとよいかもしれません…!
担当するパート分けを行う
キーを決めたら、次は誰がどの部分を歌うのかについて話し合いましょう!
決め方には様々な方法があるため一概には言えないのですが、ここではよくあるパターンを何個か列挙いたします。
キー選びのタイミングと少し被る部分もあるので、キーを決めながらパートも同時進行で決めるのもいいかもしれません。
具体的な例は下記の通りです。
- 自分の声質や音域に合ったパートを担当する
- 自分のイメージカラーが連想される箇所を担当する
- サビや掛け声など盛り上がる部分は一緒に歌う
- 一方はメイン、もう一方はハモリを交互に歌いよりデュエット感を出す …等
パート分け次第で意外と曲の雰囲気がガラリと変わることもあるので、適当に分けることはせずしっかりとコラボ相手と話し合うようにしましょう!
どちらか一方が先に録音を行う ★特に大事
コラボで歌ってみたを録音する際、この工程を飛ばしてしまう方がものすごく多いです!
つまり、担当パートを決めたら、すぐに各々が録音を始めてしまうパターンなのですが、これだと問題が発生してしまう可能性がとてつもなく高いです。
具体的には下記のような問題になります。
- 歌い方の癖でタイミングや音程が大きくズレていた
- フレーズの最後で伸ばす長さがバラバラになっていた
- コラボ相手と歌の温度感が全然違っていた
- 歌うべきパートを間違えていた
- 歌うキーを間違えていた …等
タイミングや音程については、ちょっとのズレであれば補正をすることも可能ではありますが、大きなズレの場合、きれいに補正をすることは困難です。
※無理やり補正はできますが、音質劣化が”必ず”発生するのでそこだけ変な声になるイメージです
この劣化は「主旋律からハモリを作成する際に出る劣化」と同じ音になるので、関連記事に載せているサンプル音源を聴くとわかりやすいと思います。
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上記のような問題があると、クオリティに関わる何かしらの部分で妥協をしなければならなくなってしまいます。
それを防ぐためにも、この工程はしっかり押さえましょう!
先に歌う人については、コラボを誘った側の人が担当してあげるとスムーズかもしれませんが、「より歌が得意」や「ピッチ補正ができる」方が担当するのもおすすめです。
これらを踏まえてコラボ相手と相談してみてください!
1人目の方が録音時に意識する部分は下記の通りです。
- 自分が基準になるので、録り忘れなどしないように注意する
- 1人の部分は主役なので思い切り自分のアピールを!
- 一緒の部分は比較的丁寧に歌う
- こだわりがある場合は、2人目の方に伝えておく
録音が終わったら、データを書き出して2人目の方に送りましょう。
その際は、しっかり頭出しをしたボーカルデータとinstを送るようにしましょう!
せっかく頑張って歌っても頭出しがされていないと、タイミングがずれた状態になってしまうので注意が必要です。
頭出しについては、下記の関連記事で詳しく説明をしているので必要な方はご覧ください。
先に録音した人の音源に合わせて2人目が録音を行う
1人目からデータを受け取ったら、そのデータをソフトへと読み込ませて、いつも通り録音をすれば問題ありません!
録音時に2人目の方が意識する場所は下記の通りです。
- 一緒に歌う部分は歌い終わりの伸ばす長さまでしっかり合わせる
- 一緒に歌う部分は大きなアレンジをせず同じ音程・タイミングで歌う
- 1人の部分は主役なので思い切り自分のアピールを!
合わせて聴いてみて、歌詞間違いや大きなズレが無いかチェック
全員の録音が終わった段階で、一度全体を聴いてみて録り忘れや間違いが無いかチェックしてみましょう!
気を付けていても、意外と歌い忘れや、歌詞・パート間違いなどが発生してしまうことがあります。
間違ったままMIX依頼に出してしまったりすると、時間が経ってから再録しなければならなくなったり、投稿後になって気づいてしまうということにもなりかねません。
運よくMIX師さん側で作業中に気づいて教えてくれることもあるかもしれませんが、それはなかなか難しいです。
歌詞間違いや歌唱ミスを確認する作業は録音時に行わなければならない作業でもあるため、しっかり確認しましょう!
MIXへ
満足いくテイクが録れ、録り忘れ等のミスが無ければこのままMIXへと進みましょう!
依頼をする場合、こだわりなどがあればしっかり事前に伝えておくとよりイメージに近づけることができます。
MIX完了後にもし、修正をお願いしたい場合は、
必ず全員の意見をまとめてからMIX師に伝えましょう!
修正対応をした後に「実は一方の意見だけしか送られておらず、コラボ相手にも修正があったということを知った」ということがとても多いです。
ただ、これだと後から意見の食い違いが起きてしまったり、MIX師さん側の二度手間になってしまうこともあります。
こうしたトラブルを避けるためにも、MIX依頼をされる方はご注意ください!
MIXが完了したら、あとは投稿のみです。
最高の作品を作って、是非たくさんの方に聴いてもらいましょう!
コラボ時の録音環境について
コラボでの作品を作るとき、切っても切り離せない問題があります。
それは、
「ノイズ問題」です。
全員が上述の「コラボ歌ってみたを作るおすすめ手順」を守っていても、ノイズが多く入っていると一体感のある作品を作るのはなかなか難しいです。
特に、「部屋鳴り」や「音割れ」といった致命的なノイズはきれいに取り除くことが不可能です。
そのため、ノイズ処理を行ってもその人だけ異空間で歌っているような状態や、参加者全員の音質をあえて下げてまとまりを出す等の処理が必要になってしまいます。
こうなってしまうと、どんなに一流のMIX師さんに依頼しても解決ができる問題ではなくなってしまいます。
理想を言えば、全員同じスタジオで録音を行えたらベストですが、かなり難しいですよね…。
従って、一番の解決策はやはり
参加者全員が録り音を良くすることです。
録り音が良くなると、シンプルに音質が良くなるというだけではなく、音程・タイミング補正もよりきれいに行うことができます。
また、音が太くなるため、同じ歌でもより上手に聴こえるようになります。
コラボやソロに関わらず、録り音改善にはメリットしかないので、できることから始めてみるのをおすすめします。
録り音の改善方法については、下記で詳しくまとめていますので是非ご覧ください!
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まとめ
いかがだったでしょうか?
今回の内容を押さえていただければ、コラボ作品のクオリティが上がることは間違いありません!
また、1人で歌う際にも通ずる内容もあるので、是非今後の活動にも活かしていただけますと幸いです。
それではまた!